−目次− ■オーディオミックス雑記
  P1 ミキシングとは┃ステレオとモノラル┃パン(定位)
  P2 ボリューム┃EQ(イコライザ)┃トータルEQ
  P3 エフェクトのインサート・センド┃空間系エフェクト
  P4 ダイナミクス系エフェクト・コンプレッサー┃主な用途
  P5 仕上げや小ネタ
(工事中)
■愛用のソフトウェア音源
■愛用の機材

■フリー写真素材 【空と雲】

■エフェクト - かけ方は2種類

ここではオーディオエフェクトの事を指します。基本的にMIDIのエフェクトは全て切った状態で、オーディオトラックに施す物。
エフェクトは音に色々と変化を与える効果の総称で、そういう機能を持つソフトや機材の事をエフェクターといいます。
一言にエフェクトといってもかなりの種類があり、種類によって次の2通りのかけ方に大別できます。

【インサートタイプ】

ダイナミクス系や歪み系をかける場合。コンプレッサー、リミッター、マキシマイザー、アンプシミュレータなど。

オーディオトラック単体もしくはバス単位で、図F-1のようにミキサーで個別に挿し込んでいくだけなので簡単です。
効果を及ぼすのはそのトラックもしくはバスだけです。

空間系エフェクトの場合は後述のセンドタイプの方が、まとまった感じが出ますし、PCの負荷も減らす事ができます。


【センドタイプ】

空間系エフェクトでよくやる方法。ディレイ、リバーブ、コーラスなど。

ややこしそうに見えて、実は簡単です。図F-2参照。
エフェクト専用のバスを用意し(それをAUXバスといいます)、エフェクトをかけたいオーディオトラックまたはバスからそのAUXバスへ送り(センド)、エフェクトのかかった音を戻してきます(リターン)。

エフェクトをセンドでかけるメリットは、空間系だと同種類の同じパラメータのエフェクトをまとめてかける事ができるので、一体感を得られる他、PCへの負荷も軽減できます。特にリバーブはけっこうマシンパワーを使いますので。
センドでかけるデメリットは、センド量は調節できるものの、エフェクターのパラメータを個別に変更する事ができないという点。パラメータを個別に調整したい場合は、必要な分AUXバスを複数用意したり、空間系もインサートで使用すると良いです。

実際にSONARでセンドのセッティングをしてみます。図F-3をご覧ください。まずエフェクト用のバスを追加します。ここではFX Sendという名前です。
囲み@のように必要なエフェクトを追加します。
囲みAの場所で、送り先のAUXバスの名前を選択し、送る量を調節します。量が多いほど、エフェクトのかかり具合が大きくなるわけです。ここは最初はグレーなだけですが、右クリックでAUXバスを選択する事で設定ができるようになります。
これで、オーディオトラックからの原音と、AUXバスでエフェクトのかかった音がマスターバスへ出力されます。
囲みBのフェーダーで、エフェクトのボリュームを調節できます。

あと大事なのは、エフェクターのDryとWetの設定。図F-4のようなものです。空間系エフェクトならよく見られるパラメータで、原音(Dry)を強くするか、エフェクト音(Wet)を上げるかを決定する部分。インサートで使うとここを調節するわけですが、センドで使う場合は、Dryをゼロ、Wetを最大にしておくことをお勧めします。
なぜなら、そもそもセンドエフェクトは原音とエフェクト音を混ぜるものなので、エフェクター自信のDry(原音)はゼロにしておかないと汚い音になってしまう事があるからです。
つまりDryとWetの具合は、図F-3Aのセンド量やオーディオトラックのボリューム、Bのフェーダーで調節するわけです。


図F-4 Dryをゼロ、WetをMAXに


ちなみにどうでもいい事ですが、実は図F-3は図F-2のようにはなっていません。
私の知る限りでは、SONARにはセンドに対するリターンのパラメータ(送り量に対して戻る量を決める)がありません。AUXバスからリターンしないでそのまま別のバスへ出力されるようになっています。他のDAWや実機なら付いてるのもあったと思いますが。
実際SONARでは図F-5のようになります。でもリターン値が図F-3のBのフェーダーだとすればやってる事は似たようなものなので、これで良しという事で。


図F-1 そのままインサート


図F-2 センドエフェクトのイメージ


図F-3 センドエフェクトの設定例


図F-5 実際のSONARのセンド図

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■エフェクト - 空間系エフェクト

良く使うエフェクトだけ簡単に挙げていきます。まずは空間系。
空間系エフェクトは音の響き方等を操作して、文字通り空間を演出するためのものです。主に次のような種類があります。


●ディレイ

ホールや部屋などの反響音をシミュレートし、やまびこのような音の遅れ(以下やまびこ)を利用して空間や効果を演出します。
重要なパラメータは、ディレイタイム(やまびこ発生までの時間)とフィードバック(やまびこの回数や量)ですが、プラグインによってはパラメータも様々です。曲のテンポに合わせる「テンポディレイ」が簡単にできる物や、アナログディレイやテープディレイなどなど。

とりあえず普通のディレイのプラグインなら、初期に設定されているプリセットから好みを選んで微調整していく感じでいいと思います。
参考までに主なパラメータについて簡単に書きます。

フィードバック:

やまびこの回数や量にあたります。LR同じ量でもいいですし、左右のバランスを変えるのも大いにアリです。
また、クロスフィードバック(原音の反対のチャンネルへやまびこを出す)のパラメータがあれば積極的に使ってみる事をおすすめします。例えば右端のバッキングギターのディレイを左へフィードバックさせたりすると、すばらしい空間演出ができます。この場合はテンポディレイ(後述)の方がしっくりきます。

ディレイタイム:

原音の発音からやまびこ発生までの時間で、一番重要なパラメータ。私はだいたい以下のような認識でタイムを分けています。

50msec前後:

やまびこ感がほとんど無くて、空間の演出というより、音に厚みを出す効果があります。
短いタイムなのでショートディレイと言ったりします。

100〜200msec:
やまびこを少し感じる事ができるタイム。空間の演出以外にも、音の隙間を埋めてくれる効果もあるので曲全体がふくよかに厚みがあるように聞こえます。このあたりのディレイタイムが響きは一番きれいな気がします。メインパートで一番よく使う設定。

400〜500msec:
広がりのあるバッキング(ストリングス、パッド、コーラス、ギターなど)や、幻想的な雰囲気の演出に使います。かなり遅れるのでメインパートに強くかけるとちょっとぼやけ気味になってしまいますが、あえてそれを狙った使い方もあると思います。

テンポディレイ:
あからさまなやまびこを市販のCDのように綺麗にキメるには、やっぱりテンポディレイをおすすめします。これならメインパートへ使ってもおかしくはありません。テンポに関するパラメータがあればそれを使えばいいですが、手動でディレイタイムを合わせる場合、以下のような計算式でディレイタイムをはじき出す事ができます。四分音符刻み(私が一番好きな間隔)でやまびこさせる場合。

  ディレイタイム(msec)=60÷テンポ(bpm)×1000

つまり、120bpmの曲で四分刻みのやまびこを作ろうと思えば、ディレイタイムを500msecに合わせればぴったりキマるわけです。
また、二分音符刻みでやまびこさせる場合は、上記の結果を2倍にすればOK。同様に、全音符なら4倍です。けどさすがにここまで遅れるディレイを使うことはほとんど無いと思います(笑)


●リバーブ


ホールや部屋などの残響音をシミュレートし、空間の広がりや奥行きを演出します。
ディレイと同じような技術です。余談ですが、ディレイのエフェクトでディレイタイムを極度に短めにし、フィードバックを多めに設定してやるとリバーブっぽくなります。つまり、ディレイは主に「反響音」を演出するのに対し、リバーブはそれがさらに細かく分かれた「残響音」を作るエフェクトとなります。壁や天井や床から反射し、それがまた反射する・・・残響音を乗せる事により、様々な種類や広さの空間をイメージした美しい響きを作ることができます。
ただし、あまり深くかけ過ぎると原音がぼやけてしまい、濁った感じになってきます。また、ぼやけや濁りが決して悪いわけでもなく、堅いイメージの音を柔らかくしたりもできるので、良くも悪くも色々な効果が期待できます。

まずはプリセットから:

これもリバーブの種類によってパラメータが違ってたりするのですが、一から設定しようと思わずに初期プリセットをどんどん試してみてください。ほとんどのリバーブは他のプラグインに比べてプリセットが多めに用意されており、プリセット名から部屋、ホール、スタジオ等の広さがわかりやすくなっている事が多いです。イメージに合った設定を選び、あとは微調整、くらいにとどめておいた方が最初はきれいに決まりやすいと思います。詳しくつっこんでいくならミックス本を見た方が勉強になるので、ここでは細かいパラメータについては割愛させていただきます。


●コーラス

細かく分類で言うと空間系ではなくモジュレーション系になりますが、とりあえずここで記載しておきます。
ステレオの音のワイド感を出したり、複数発音されているように見せるためのもの。
このエフェクトはディレイの応用ともいえます。音に揺らぎを与えてざらざら感やうねりを出す事により、音が多くなったり広がったように聞こえます。でも強くかけすぎると音がギザギザに変形していき、どんどん汚くなってきます。
文字通りコーラス(バックコーラス)やバッキング(パッド、ギター、ストリングスなど)に適したエフェクトです。

問題のパラメータですが、基本的な物はDepth(コーラスの量)とRate(音を揺らす周期)があり、あとはディレイと同じようにディレイタイムとフィードバックのパラメータが付いている事が多いです。参考までに、バックコーラスにかけるならRateは0.1Hz、Depthはほんのちょっぴり、ディレイタイムは30msec前後くらいに抑えた方がいいと思います。Rateはここから上げるほど音がヘニャヘニャになりますし、Depthは上げすぎると扇風機に向かってしゃべってるような音に変わります。

【違うけど原理の似たエフェクト】

私の場合コーラスのエフェクトはバックコーラスに使うくらいで、ワイド感を変えるには右のようなステレオイメージ系エフェクトをよく利用しています。これらもディレイを応用したプラグインですが、音を広げた時の音質はちょうどコーラスをかけた時と同じように変化します。数値だけでなく視覚的にわかりやすく音の操作ができるのでオススメです。

図G-1はWavesのS1
画面内の三角形を動かす事で、ステレオ素材を広げたり狭めたり、左右に傾けたり、まさにイメージ通りの音へ変化させる事ができます。
どんな感じかというと、広げれば広げるほどにコーラスと同じようにザラザラした音に、細くすればするほどモノラルの音に近くなっていきます。
モノラル素材をこれでワイドにして使う事も可能。

図G-2はChannel Tools
私はこれを使いたくてSONAR8へアップグレードしたようなもので、パッドやストリングスのバッキングには必ず使っています。
これのすごい点は、LR個別にワイド感の設定ができるのと、センターの音を邪魔しないように左右に広げたりと、かなり細かく設定できるところ。
ただし万能なわけではないので、広げた音のセンターを抜けば抜くほど特殊ディレイの効果で音がギザギザになったり、気持ちの悪い音になってしまったりします。
ミックスでの使用以外にも、逆にステレオ素材から、狙った定位の音を抜いたりする使い方もできます。

図G-1 Waves S1 Stereo Imager



図G-2 SONAR8付属 Channel Tools


●空間系まとめ話


【参考1 音源側のエフェクターはどうする?】


ハードウェア音源とソフト音源とも、独自のオーディオエフェクターを搭載している物が多いです。例えば・・・


Roland SD-90
コーラスとリバーブのオーディオエフェクトを搭載。


Roland SD-50
トラック毎にデフォルトでリバーブへ40もセンドされています。これがSD-90より響きが良く聞こえる要因。



Roland TTS-1
MIDIエフェクトの数値がそのまま反映されてエフェクトが働きます。

Steinberg Hypersonic
ほとんどの音色にデフォルトでリバーブがかかっている他、各種エフェクトを搭載。
基本的には音源側のオーディオエフェクトはOFFにしておいた方が良いと思います。
エフェクターはプラグインによってキャラクターが違うのと同様に、各音源に搭載されたエフェクターもそれぞれに個性があります。なので、色々な音源からミックスする場合は特に、DAWである程度統一した空間系を通した方がまとまり感が出ますし、違う音源でも違和感を減らす事ができます。生楽器系がメインのミックスならだんぜんおすすめ。
もちろん必ずそれが良いというわけでもなく、音源側のエフェクトも一緒に活用する事によって面白い結果になる事もあります。シンセチックな音が多い曲の場合、シンセサイザー搭載のエフェクターも素直に使った方が自然ですし。
結局のところ、原音がぼやけ過ぎて汚くならなければ、どんなかけ方でも問題ありません。

【参考2 ディレイとリバーブはセットで】

私の場合、ディレイとリバーブはセットでかけた方が良いと考えています。物理現象を考えても音が反響するような場所なら残響も残る方が自然なので、ディレイを使うなら一緒にリバーブも乗せると良いです。また、リバーブだけ使う場合でもショートディレイと合わせる事で、相乗効果で響きが良くなります。(もちろん相乗効果で汚くなる事もあります)

【参考3 トラック別にかける】

マスターバスや全部のトラックへ同じエフェクトをガツンとかけるのもアリですが、やっぱり立体感を演出するためにはトラック別にパラメータを変えた方が良いです。1〜数種類のリバーブやディレイのバスを用意しておき、それぞれオーディオトラックをセンドして、トラック毎にセンド値を変えてみましょう。例えば琴やピアノだけを幻想的に深くディレイさせたり、場合によってはエフェクトをかけないトラックがあったりするとメリハリのあるミックスができると思います。もちろん、トラック毎にエフェクトを施した後、さらにマスターバスに空間系を挿してラストの味付けを加えるのも面白いです。

【参考4 ここでもステレオとモノラル】

空間系エフェクトをかける場合、ステレオトラックの方が綺麗に響かせる事ができます。モノラルトラックは定位をはっきりさせる事ができる反面、一点集中の広がりの無い音になります。なので、モノラルに空間系をかけると試験管やフラスコの中で響いてるような感じになり、曲全体にきれいに溶け込むような効果はあまり期待できません。でもそれはそれで面白い音が作れますので、色々やってみると楽しいです。

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