−目次− ■オーディオミックス雑記
  P1 ミキシングとは┃ステレオとモノラルパン(定位)
  P2 ボリューム┃EQ(イコライザ)┃トータルEQ
  P3 エフェクトのインサート・センド┃空間系エフェクト
  P4 ダイナミクス系エフェクト・コンプレッサー┃主な用途
  P5 仕上げや小ネタ
(工事中)
■愛用のソフトウェア音源
■愛用の機材

■フリー写真素材 【空と雲】

オーディオミックス雑記

まず、基本的な事ばかりなので、DTMに慣れている方から見れば退屈な内容だと思います。何卒ご了承ください。
私が普段気を使ってる事などをSONARに偏ってだらだらと書いてみました。
これから作曲を始める方や、MIDIはやってたけどそろそろDAWで音の作り込みをしてみようという方など、少しでも参考になれたら幸いです。こうして書いている私自身、たいした曲を作っていません。おかしな点を見つけたら遠慮なくつっこんでいただけると助かります。

【その前にDAWとは】

DTM用語としてよく聞く単語「DAW」は「Digital Audio Workstation」の略。昔からあるMIDIシーケンサーとオーディオ編集ソフト等が合体した、統合作曲ソフトと思ってください。PC上で打ち込みから、生演奏やボーカルのレコーディング、オーディオ編集、ミックス、マスタリングまで、楽曲を作成する作業が一通りできるようになっています。プラグインとして使用するソフトウェア音源や、ハードウェア音源も混ぜて作る事も簡単にできます。

DAWの普及でDTMの敷居は確実に下がり、誰もが簡単に作曲を楽しむ事ができるようになりました。色々なメーカーがDAWを出していますが、それぞれ特徴はあるものの、どれを買ってもだいたい同じような事が出来ます。まだお持ちでない場合は、体験版を使ってみたりして自分に合ったDAWを捜してみてください。


■ミックス(ミキシング)とは

ここではDAW上でオーディオ素材を使って行う、ステレオ2ミックスの事。ミックスダウンとも。私はかゆいのでミックスとよんでます。
音源モジュールから出力される各パートの音量や定位を調節したり、エフェクトをかけたりして、バラバラでうごめく音色をキレイにまとめ上げる作業。高い音源でも安い音源でも、音色のポテンシャルを引き出せるかどうかはこの作業次第で、出来上がりも相当変わってきます。
MIDIデータが一通り出来上がった後に行うものですが、最近はソフトウェア音源が増えてきているので、打ち込みと平行して音を作り込んでいく事も多いと思います。

やれる事はたくさんありますので、重要な事から順番に書き進めるとしましょう。実はそんなに無かったりして。

【ソフトウェア音源とハードウェア音源、使い勝手の違い】

ミックスを行うにあたっては、MIDIトラック1個に対してオーディオトラック1個を用意する事が望ましいです。その方がより細かい調整ができます。

ただ、一般的なハードウェア音源はオーディオ出力が1個なので、そのままセッティングすると図A-1のような形となってしまいます。ちょっと時間はかかりますが、オーディオトラックを必要な数用意しておき、MIDIトラックを順番にソロ再生しながら(またはミュートを使って)レコーディングしていけば、ミックスの準備は完了となります。

一方ソフトウェア音源の方は、マルチティンバーや楽器専用のどれを使っても、図A-2のようにミックスに最適なセッティングが簡単にできます。こちらの場合、マシンパワーをそれなりに使いますが、打ち込みを進めながらミックスを平行する事ができます。
そういうフレキシブルさもあり、私はソフトウェア音源がメインです。


ちなみに、ワークステーション機能の付いたハードウェア音源なら、大抵高品質なエフェクターを搭載しており、ハードウェア側でミックスが出来てしまいます。そんな良い物をお持ちなら、DAWでバラバラにレコーディングをするまでもないかもしれません。どっちでミックスした方が音が良いかというと、やり方次第でどっちも良くなると思います。


図A-1 ハードウェア音源のセッティング例


図A-2 ソフトウェア音源のセッティング図
【MIDIトラックの操作は?】

出来上がったMIDIトラックのデータは触らず、オーディオトラック側での処理が基本となります。とはいってもMIDIでやった方がいい事もありますので、ざっくり切り分けをすると以下のようになります。

  MIDIトラックでやってOKな事:ベロシティ、ピッチベンド、モジュレーション、エクスプレッションなど
  MIDIトラックでやらない方がいい事:パン、リバーブ、コーラスなど

MIDIのボリュームの事を書いていませんが、それもオーディオトラックでの調節が基本となるので、MIDI側は初期値のままでかまいません。ただし、曲中にボリュームをオートで変動させる場合、MIDIトラック側にボリュームのオートメーションを作る事もあります。(この話は後で)
MIDI側のリバーブ等のエフェクトは、基本的にOFFにしておきましょう(あえてハード音源内蔵のエフェクターを使う場合は別)。

【ソフトウェア音源とハードウェア音源を混ぜる場合】

ソフト音源とハード音源を一緒に使う場合、冒頭では簡単と書いておきながらちょっと問題があります。再生時、ハード音源からの音をDAW越しに聞くと、ソフト音源との多少のズレ(レイテンシ)が出てしまうのです。打ち込みの段階からソフトとハードを同時にモニターできれば楽なのですが・・・対処法は主に2つ。

1. ハード音源から録るパートもソフト音源で代用して打ち込んでおき、ラストのミックスの準備の時、代用していたトラックだけハード音源からレコーディングしていきます。とりあえず録ってしまえばソフト音源とのズレは無くなるので、安心してミックス作業ができます。ただし、ハード音源パートのMIDIを修正したい場合、また録り直しに。

2. オーディオI/Fには、外部音源をPCのDAWを介さず直接スピーカーへバイパスする「ダイレクトモニター」の機能が付いている物が多いです(あまり変なI/Fでなければ大抵付いている)。ダイレクトモニターを使えば、外部のハード音源がゼロレイテンシでモニターできるので、ソフト音源のズレを感じる事なく打ち込みを進める事ができます。最後はDAWを通してハード音源から必要な部分をレコーディングしなければなりませんが、ハードもソフトも気にせず打ち込んでいけるメリットは大きいです。

目次へ戻る


■ステレオとモノラルの使い分け

楽曲はステレオで完成させますが、ミックスさせる各トラックの素材も全部ステレオなら良いというわけではなく、モノラルという選択肢もあります。場合によって使い分けると良いと思います。私の感覚でそれぞれの長所短所を上げると次のような感じ。

ステレオの長所:ワイド感があるので広がりを演出できる。やわらかい音。
ステレオの短所:定位がぼやける。他の音に埋もれがちになったり、他の音を邪魔する事も。

モノラルの長所:定位がはっきりする。音が尖る感じ。同じボリュームでもくっきり大きく聞こえる。
モノラルの短所:音色によっては尖りすぎて耳に不快感が出る。目立ちすぎて他の音が弱る事も。

総じて極端なイメージを書くと、図B-1のようになります。

実際の各トラックのステレオとモノラルの切り替えは、SONARならコンソール(ミキサー)上で、図B-2のようにボタンのON/OFFだけで簡単に変更できます。


【参考】
私は主に次のように使い分けをしています。

図B-1 ステレオとモノラル


図B-2 切替スイッチ
ピアノ:
音に広がりが欲しいのでステレオ。
うるさい曲でピアノが聞こえにくい場合にモノラルにする場合もあります。

ストリングス系・コーラス・パッド:
これらもステレオで広がりを演出させたいです。
ステレオイメージ系エフェクトのChannel ToolsWAVESのS1などで、全体を包み込むように広げるとステキですね。
こういうエフェクトが無くても、コーラスのエフェクトで似たような効果を得る事もできます。

ブラス・リード:
主メロならステレオでも良いですが、エレキギターに埋もれてしまった音をモノラルで救出する事も。

ギター:
通常はステレオですが、モノラルで端に寄せたりしても面白いです。ギターの役割によって色々。

ベース:
私はほぼ、太いエレキベースをモノラルでセンター配置にします。
シンセベースならステレオにしたり。

ドラム:

ハードウェア音源なら音源まかせでいいと思います。
ソフト音源を使っていれば、ぜひ図B-3のように打楽器ごとにパラアウト用のオーディオトラックを用意してみてください。ドラム音源の中だけで完結させるよりはぐっと仕上がりが違ってきます。
各トラックの基本はモノラルで。でもシンバルやゴングはある程度広がりも欲しいのでステレオが良いですね。
タムやシンバル等は複数個あるのでオーティオトラックを個別に用意してもいいと思いますが、1トラックにまとめて音源任せにした方が自然だったりします。

まとめ:
基本的に、広がりを与えて、後述の空間系エフェクトなどで響きを良くしたいトラックはステレオで、響きの不要なトラックや打楽器はモノラルという感じになるでしょうか。

でもこれといって正解は無いので、その都度全体を聴きつつ好みの形に仕上げていきましょう。

図B-3 ドラム音源からバラバラにオーディオ出力

目次へ戻る


■パン(定位)

せっかくステレオに仕上げるわけですから、楽器を左右中央に振り分けてステージのような広がりを演出したいところ。それがパンニングです。演出以外にも、音域の近い楽器を振り分けて離す事で音のかぶりを軽減する等の効果も期待できます。
SONARの図C-1のように、のコンソール(ミキサー)の「Pan」の項目で設定できます。
ちなみに真ん中と右だけ「〜」マークが付いているのは、曲の最中にオートメーションでパンが変化するようにしているため。


図C-1 SONARのパン振り
【パンニングの限界】
パンニングの限界はミキサー上で左右100%なわけですが、極端なパン振りはヘッドホンやイヤホンで聴いた時に不快感が出る事があるので、音数に合わせて割り振っていくと良いです。
個人的に、音数の少ない曲なら左右50%くらいまでの方が耳に優しいように思います。
反対に、ボーカルがあったり音数の多い曲になってくると、センターの音を邪魔しないようにどんどん左右に避けて100%くらいまで振るトラックが出てきます。その場合、左右に似たような音域の楽器をバランス良く配置するしたり、空間系エフェクトのフィードバックを反対のチャンネルに返してバランスを取ったりすると耳に優しいミックスになります。

【参考】
最近は携帯型プレイヤーでイヤホンやヘッドホンを使って聴く事も多いため、ミックスではスピーカーだけで判断するよりも色々な環境で聴いた方が良いです。自宅のモニター環境では良くても、イヤホンで数回聴くと耳が疲れるような仕上がりになってるとショックです。

私はだいたい次のような感じで割り振っています。
※MIDIトラック側のパンは全てセンターにしておきます。

主メロを奏でる楽器:
楽器の種類を問わず、迷わずセンター配置。ボーカルも一緒。
でもハモり等でトラックが複数ある場合は、左右に振る事もあります。

助奏させる楽器:
助奏次第ですが、横に避けたり、構成によってはセンターだったり。

ストリングス系・コーラス・パッド:
元々ワイド感の大きい音なので他の音を邪魔しないように左右に動かす事もありますが、私の場合、ステレオイメージ系エフェクト(Channel ToolsWAVESのS1など)で思い切り広げてセンター配置にしする事が多いです。
場合によって片方だけ聞こえるようにしたり、それを交互に動かしたりする事も考えられます。

ギター:
役割によって色々。バッキングなら横とか、ソロならセンターとか。

ベース:
太いベースを迷わずセンターにどかんと置いてます。
低音の楽器はセンターの場合が多いと思いますが、人によっては2種類のベースを左右に分けてる事もあります。

ドラム:
実際のドラムのセッティングを意識して配置します。市販のCDなどを聴いても、ドラムキットがステージを覆いつくすようにワイドなミックスになってる事が多いと思います。かと思えばセンターに集めてる曲もあるので、自由な発想でも良いと思います。
とりあえず無難に仕上げるなら、キックとスネアはセンター、タムやシンバルは音源まかせで左右に展開。ハイハットは左右どちらか(通常のドラムキットを客席側から見ると少し右に位置するため、音源まかせだと右が多い)。でも私はハイハットはセンター付近が好みなので、わざわざ真ん中に寄せてくる事もあります。

その他の楽器や打楽器:
楽器の音域がなるべくかぶらないように振り分けたり、全体のバランスがどちらに偏っているか等を考えます。
一瞬しか鳴らない音は豪勢にセンターに置いてもいいし、一瞬しか鳴らないからこそ片方いっぱいに振れるという考え方もアリ。

【微妙に厄介なピアノ音源】
  
ピアノ音源、または音源のピアノ音色によっては、こんな風に鍵盤の位置がそのままステレオに割り当てられている物が多い気がします。つまり、鍵盤の左を弾くほどスピーカーの左から音が、右を弾くほど右から音が出るというものです。これはピアノ奏者から見たステレオの再現であって、演奏を聴くリスナーサイドの配慮ではありません。
ピアノソロの曲ではこっちの方が良さそうですが、オケに混ぜて使う場合に左右に勝手に動いて困る事があります。決定的な対処法はありませんが、おそらくトラックによって演奏させる音域がある程度限られていると思いますので、左右の出音レベルを見ながら納得のできる位置へパンニングするといいです。また、動きすぎて困る時は、ステレオイメージャーのプラグインでワイド感を減らす方法もあります。

【オーケストラ編成を意識してみる】

あくまで参考までにしていただきたいのですが、人の耳に気持ち良く聞こえる美しい構成は、

  「左は高音、右は低音」

らしいです。考えられる理由は色々とありますが、特に顕著に現れている形がオーケストラだと思います。
右の図C-2は最近のオーケストラ編成の一例を模式図にしたものです。
客席から見るとなるほど、左に行くほど高域を担当する楽器が多く、右に行くほど低域担当の楽器が多く配置されています。
まさに過去の偉人達が熟考を重ねた末に編み出された美しい配置。案外オカルトでも何でもないような気がしますよ!

図C-2 オーケストラ編成の一例

ただしホールで聴くから気持ちが良いわけで、ミックスであからさまにこのように配置すると、イヤホンやヘッドホンで聴く時あまり耳に良いとはいえません。片方だけに高音が偏ってたりその逆だったりすると、けっこう耳が疲れるものです。
ある程度バランス良く配置されている方が耳に優しいので、図C-2のような形は頭の隅っこで意識する程度で良いと思います。
目次へ戻る
次のページ

inserted by FC2 system